何が一番良い断熱材なの!?断熱材の種類について

皆さんこんにちは!

今回は断熱材の種類についてご説明させて頂きます。

断熱材は様々な物があり、何が良いか迷ってしまいますよね^^;

住宅に使用される断熱材は大まかに、下記の4種類に分類されます。

1,無機繊維系断熱材

2,木質繊維系断熱材

3,発砲プラスチック系断熱材

4,天然繊維系断熱材

まず最初に結論から言ってしまいます!

値段関係なく、選ぶとしたら木質繊維系断熱材が一番いいと私は考えています!

しかし、コストパフォーマンスを考えると無機繊維系断熱材が一番となります!

では、順番に各断熱材のメリット・デメリットを見ていきましょう。

目次

1,無機繊維系断熱材

無機繊維系断熱材で代表的な物に、グラスウールとロックウールがあります。

どちらも鉱物由来の繊維を固めて成型した断熱材となります。

グラスウール

引用元https://www.jepsa.jp/jepsa_eps/about/

グラスウールのメリット

耐火性が高い

安価である

柔軟性が高い

無機物系のため経年劣化しにくい

施工費が安価

防音性が高い

グラスウールのデメリット

防湿性が低いため、結露などにより上部に隙間が生じやすい

施工精度に大きく影響を受けてしまう

総評

グラスウールはガラス繊維を成型した断熱材です。

安価であり、施工実績も多く、昔から使用されている断熱材です。

しっかりとした施工がされていれば、コストパフォーマンスが高く、良い断熱材となりえます。しかし、施工精度が低いと結露などにより断熱材がずり落ちてしまい、本来の断熱性能を発揮できなくなってしまいます。

結露と施工精度に大きく影響を受けるため、信頼のできる工務店や担当者に施工をお任せする必要があります。

※参考熱伝導率:0.033~0.050W/m・K

ロックウール

引用元https://www.jepsa.jp/jepsa_eps/about/

ロックウールのメリット

防音性が高い

耐火性が高い

グラスウールよりも湿気に強い

ロックウールのデメリット

グラスウールよりも少々高価

施工精度に大きく影響を受けてしまう

防湿性が低く、結露などにより上部に隙間が生じ易い(グラスウールよりは生じにくい)

総評

グラスウール同様、しっかりとした施工がされていれば、コストパフォーマンスが高く、良い断熱材となりえます。しかし、施工精度が低いと結露などにより断熱材がずり落ちてしまい、本来の断熱性能を発揮できなくなってしまいます。

1階と2階の間の階間に入れることにより、2階の足音などを下階に聞こえにくくする、防音材としても使用されることがあります。

感覚的にはグラスウールと近い印象です。

ただ、グラスウールより撥水性があり(結露対策は必要)少々高価です。

※参考熱伝導率:0.035~0.047W/m・K

2,木質繊維系断熱材

木質繊維系断熱材には「セルロースファイバー」があります。

簡単に言うと、新聞紙などを細かくしたものを、燃えにくくするためにホウ酸で処理をしたものになります。

引用元https://ja.wikipedia.org/wiki/セルロースファイバー

セルロースファイバー

セルロースファイバーの長所

原料が新聞紙=木ですので、素材自体が非常にナチュラル

調湿効果が高く、快適な湿度を保て安い

内部結露がほとんど発生しない

高い防火性能

高い遮音性能

壁内などに、専用の機械で吹き込んでいくため、隙間が出来にくく高い気密性を確保できる。

セルロースファイバーの短所

日本ではマイナーな断熱材の為、施工業者が少ない

値段が比較的高い

総評

筆者の主観が入ってしまいますが、値段という点以外においてはキングオブ断熱材だと考えています。

防音効果、断熱効果、調湿効果、施工の安定性・気密性、内部結露対策。

上記を併せ持つ断熱材は他には無いと考えています。

ただ、値段が高いのですよね(´;ω;`)

※参考熱伝導率:0.040W/m・K

3,発砲プラスチック系断熱材

一般的に断熱材というと、発砲プラスチック系を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

主には下記の4種類があります。

・ビーズ法ポリスチレンフォーム

・押出法ポリスチレンフォーム

・硬質ウレタンフォーム

・フェノールフォーム

では順に見ていきましょう。

ビーズ法ポリスチレンフォーム

引用元https://www.jepsa.jp/jepsa_eps/about/

ビーズ状にしたポリスチレン樹脂を発砲させたものです。

簡単に言ってしまうと、発泡スチロールと同じです。

ビーズ法ポリスチレンフォームの長所

水を吸わない為、結露が防げる

柔らかく軽量で加工が容易

発砲プラスチック系の中では安価

ビーズ法ポリスチレンフォームの短所

発砲プラスチック系の中では安価だが、無機繊維系断熱材に比べると割高

熱に弱い

総評

加工性に優れ、水を吸わないという特徴から結露防止にも役立ちます。

しかし、無機繊維系断熱材よりも高価であり、熱に弱い特徴があります。

※参考熱伝導率:0.024~0.043W/m・K

押出法ポリスチレンフォーム

引用元https://www.kaneka.co.jp/business/qualityoflife/foa_004.html

ビーズ法ポリスチレンフォームとほぼ同じ材料を、発砲させながら押し出して成型したものが押出法ポリスチレンフォームです。

押出法ポリスチレンフォームの長所

密度がビーズ法の物よりも高く、薄くても赤い断熱性能を持つ

水に強い

軽量で加工や施工が容易

押出法ポリスチレンフォームの短所

熱に弱い

ビーズ法と同様、無機繊維系断熱材に比べると高価

総評

加工性に優れ、水を吸わないという特徴から結露防止にも役立ちます。

しかし、無機繊維系断熱材よりも高価であり、熱に弱い特徴があります。

様々な会社から、様々な種類の商品が販売されており、物によって断熱性能は様々です。

※参考熱伝導率:0.024~0.043W/m・K

硬質ウレタンフォーム

引用元https://www.blisslife-eshin.jp/field-situation/tinosihohigasidannentukouji/

ポリウレタン樹脂に発砲材を加えたものになります。

ボード状に加工された物や、現場で直接吹き付けていく物もあります。

ここでは、直接現場で吹き付けて行くタイプの説明をしていきます。

硬質ウレタンフォームの長所

現場で直接、吹き付けて行くため高い気密性がとれる

断熱性能が高い

硬質ウレタンフォームの短所

高価である

万が一、燃えると有毒ガスが発生する

総評

熟練の職人が現場で直接、吹き付けて作業をする為、壁内や天井内に隙間なく施工することが可能です。その為、高い気密性にも期待することが出来ます。

細かい事を言ってしまうと、新築時は隙間なく吹き付けるので高い気密性を期待できますが、年数が経つにつれて木造の躯体部分の木は細く締まっていきます。その為、わずかな隙間が生じるおそれが出てきます。筆者はその点からも、気密性という観点からも金額面で折り合いがつけばセルロースファイバーの方をお勧めします。

※参考熱伝導率:0.023~0.040W/m・K

フェノールフォーム

引用元https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/neoma/line_up/neoma_form/index.html

フェノール樹脂に、発砲剤や硬化剤を加えたものとなります

フェノールフォームの長所

非常に燃えにくい

燃えても有毒ガスがほぼ発生しない

非常に高い断熱性能

フェノールフォームの短所

かなり高価

総評

断熱性能はぶっちぎりの一番だと思います。

ただ、非常に高価なのが難点です。

コストパフォーマンスのバランスを見つつ、採用していくのが良いかと思います。

筆者はZEHなど、高い断熱性能が必要とされる物件の際は、この断熱材を床下断熱材に使用することが多いです。

※参考熱伝導率:0.019~0.036W/m・K

4,天然繊維系断熱材

自然生まれの天然素材系です。

この天然繊維系断熱材は先述の3種類と比べると、かなりマニアックな部類に入ってきます。

正直、施工を推奨している工務店やハウスメーカーもかなり少ないとは思いますが、知識の1つとして知っておいても損はないかと思います。

羊毛

引用元https://www.cosmo-project.co.jp/achievement/achievement.html#work-product-content-one

羊毛に防虫処理を施したものになります。

羊毛の長所

調湿性がある

断熱性が高い

耐久性が高い

防虫効果が高い

羊毛の短所

値段が高い

施工業者が少ない

総評

天然素材ということもあり、健康に悪いイメージは

少なそうですよね。

筆者の前職の会社にて、サッシ回りの隙間に羊毛を使っていた記憶があります。

断熱性能うんぬんより、天然系の素材を多用して売りにしている工務店やハウスメーカーが主に使用していると思います。

断熱材の元々の用途である「断熱性能」とコストにフォーカスすると、そこまで多用するものでもないのかなとは思います。

※参考熱伝導率:0.039~0.049W/m・K

炭化コルク

引用元http://www.toa-cork.co.jp/cork_commodity/carbonization_cork/index.html

おそらく、今回ご紹介する断熱材の中で一番マイナーな断熱材がこちらの炭化コルクとなります。

ワインの栓などのコルク材を炭化させたものとなります。

炭化コルクの長所

空気を多く含有していることから断熱、調湿、吸音に優れている

コルクには自然由来の防虫効果がある

捨てられるはずの端材を使用するため環境に優しい

炭化コルクの短所

非常に高価

総評

見た目が非常にかっこよく、筆者が初めて見た際には「このまま仕上げでもいいのでは?笑」と思ったくらいです。

ただ、非常に高価で、施工業者も少ないです。

※参考熱伝導率:0.037~0.045W/m・K

まとめ

いかがだったでしょうか?

様々な断熱材があるので、迷ってしまいますよね。

最後に一級建築士であり、今まで様々な断熱材を施工してきた筆者が「もし自分の家にしようするならどの断熱材を使うの???」と、いう観点からこのブログの結論とさせて頂きたいと思います。(完全に主観です(笑)

費用に余裕があるならセルロースファイバー!

予算を押さえるならグラスウール!

という結論になります。

セルロースファイバーは気密性、調湿性、断熱性、遮音性など全てにおいて高次元にバランスを持った断熱材だと思います。

以前に勤めていた会社では、このセルロースファイバーが標準装備でした。

そこで嫌というくらい、セルロースファイバーの良さを実感してきました。

本当におススメです!高いなりの性能があります!

次に、予算を押さえるならグラスウールという理由です。

多くの方が、このグラスウールを嫌がる点は「長年使用していると、結露などによって断熱材が垂れ下がってきてしまうのでは?」という不安があるからだと思います。

グラスウールは数字だけ見ると、非常に優秀な断熱材です。

しかし、施工する職人さんの技術力に大きく左右されてしまう側面を持っています。

ですので、もしグラスウールを施工する場合は「十分に信頼のおける工務店やハウスメーカーにお願いをしてください!」

施工がしっかりしていれば、経年により下がってしまったりすることがかなり少なくなります。

以上で、断熱材についての説明を終わらせて頂きます!

皆さんの、後悔しない断熱材選びの一助になれたら幸いです!

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!!!

やっぴー
一級建築士。現役の設計士兼現場監督です。リフォームや耐震改修も得意です。
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